13 平成18年幸謡会能   愛知

熱田能楽堂       2006/10/08

舞台美術館の鑑賞


 

 昨年の幸謡会能は、急遽、出演依頼があり、能「隅田川」の地を務めた。今回は、見所で、見せていただく。
 熱田能楽堂。

 2006年10月で、閉鎖されます。丁度、50周年に当たる。

 名古屋能楽堂が出来て、利用者が減ったのが、主な原因と思われる。

 お世話になりました。

 能舞台。
能 「砧(きぬた)」

前シテ:蘆屋某の北の方=近藤幸江 面:深井
後シテ:北の方の霊=近藤幸江 面:泥眼

ツレ:夕霧=塩谷恵
ワキ:蘆屋某=中村彌三郎
アイ(間狂言):下人=野村又三郎
囃子方:笛=竹市学、小鼓=福井四郎兵衛、大鼓=筧鉱一
地謡:大槻文蔵、斉藤信隆ほか

 筑前蘆屋の男が訴訟事で京に上り、3年経った。侍女の夕霧を呼び、この年末には帰ると、帰って妻に伝えよと言い、蘆屋へ行かせる。

 夕霧が尋ねると、妻は、長い間音沙汰なしの恨みを訴えるが、直ぐ帰るという夫の言葉を頼りに、自分の心がおろかだったと嘆く。

その時、砧を打つ音が聞こえてきます。(舞台では小鼓が奏でる)

 砧:布地を柔らかく艶を出すため、木、石の台で布を打つ作業。=砧打ち 秋の季語

 中国の故事:蘇武が、匈奴(きようど)に使して捕われ、帰らなかった時、妻子が砧を打ったところ、その音が万里を離れた蘇武に届いたという。

 その時、この年末も帰れないと知らせが入る。夫の心変わりと思い病の床に就き死んでしまう。(前場)

 間狂言(あいきょうげん)が、シテの衣裳替えの時間を使って、この能の概要の説明を行う。語り言葉で、大きな声で語り、良く言葉が理解できる。

 夫が妻が死んだことを知り、芦屋に帰り、嘆き悲しむ。妻が打っていた砧を手向けて弔う。等説明する。

 夫は、梓弓(あずさゆみ 弓の弦を鳴らして死者の霊を呼ぶ)を鳴らして妻の言葉を聞こうとすると、妻の亡霊が現れる。

 

 夫を思う恋慕の妄執によって、地獄で苦しんでいる事を訴える。

 夫は、法華経を唱えると、その功徳により、妻の亡霊は成仏する。

 

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