4 壺泉会大会   愛知

名古屋能楽堂       2006/05/04

舞台美術館の鑑賞


 

 泉嘉夫師の主催する壺泉会を拝見してきた。  以下敬称省略しました。
 能 「 松風(まつかぜ)」

シテ:松風 石川晴子
ツレ:村雨 中川真澄
ワキ:旅僧 高安勝久
アイ:浦人 野村又三郎
囃子方:笛=藤田六郎兵衛、小鼓=後藤孝一郎、大鼓=河村総一郎
地謡:

 世阿弥の伝書に、「松風村雨の能」として記述がある秋の名大曲です。源氏物語の文句も多く引用してある。3番目もの(鬘物 女物)

 (すじ)旅僧が須磨の浦で松を見てそれが松風村雨の旧跡と聞いて弔っていると、二人の女が汐汲車を引いて帰ってきた。

 一宿を乞い、松風村雨を弔っていたと話すと、女達は涙ぐみ、私たちはその幽霊と打ち明け、中納言行平の寵を受けたと話す内に、松風は恋慕の余り狂ってしまう。

 松風は、形見の烏帽子狩衣を着て舞を舞った後、回向を乞うて別れを告げたかと思う内に、僧は目覚め、残るのは松風ばかりだった。

 神戸須磨には、「松風村雨の松」が残っており、少し山にはいると、二人の墓も残っている。

 「熊野松風は飯の種」と言われている。

素謡

 砧 高杉嘉彦

 裃(かみしも)をつけて。裃は重習(おもならい 最後に習う難しい曲)のために、付けると思う。叉、先生に確認しておきます。

 ワキ、地は玄人

仕舞

 阿漕 橘進

舞囃子

 花筐 大坪由紀子

  能 「 葵上(あおいのうえ)」

シテ:六条御息所の幽霊 加藤春枝
ツレ:照日の巫女 吉沢旭
ワキ:横川小聖 高安勝久
ワキツレ:臣下 椙元正樹
アイ:臣下の下人 野村小三郎
囃子方:笛=竹市学、小鼓=福井敬次郎、大鼓=筧鉱一
地謡:

 源氏物語「葵」をもとに、王朝文化の影に潜むおどろおどろとした情念の世界を描いています。

 写真は、うわなりうち(後妻打)の場面です。床の上の着物が葵上、女が六条御息所の幽霊で、「枕に立ち寄りちょうと打てば」と、扇で小袖の襟先を打つ。

 左:ワキ 高安勝久 

 右:アイ 野村小三郎

 玄人の先生です。

 大臣(源氏)の女葵上が物の怪に取り付かれているので、照日の巫女を呼びに行かせ、梓弓(で占う)にかける。

 梓にかけると、破れ車(やれぐるま 壊れた車)に乗って六条御息所の霊が現れ、源氏の愛を失った恨みを延べ、葵上に祟ろうとする。

 嫉妬心は募るばかりで、葵上連れて行こうとするので、臣下の下人に横川小聖を呼びに行かせる。(女と女の戦いで、六条御息所の勝ち)

 横川小聖に加持させると、怨霊は鬼女になり、なおも葵上に祟ろうとする。

 遂に、聖に祈り伏せられ、心和らげ成仏する。「読誦の声を聞く時は悪鬼心を和らげ忍辱慈悲の姿にて菩薩もここに来迎す。成仏得脱の身となり行くぞありがたき。」で舞台で拍子を踏み、終わる。(鬼と行者の戦いで、行者の勝ち 日本的な終わり)

 演者は、恨みを述べる辺りに力を入れ、殊に凄さと優しさとの交錯に苦心するそうです。

舞囃子

 二人静 泉嘉夫 泉雅一郎

 

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